スーパータウン一覧 昭和47年版
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スーパータウン一覧 昭和47年版
制作:千本桜 歌麿  設置日:2007.2.7  最終更新日:2017.9.3
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昭和47年 スーパータウン分布図 棒グラフはスーパータウンの規模を表しています

はじめに
 かつて、市は都市を意味していました。しかし、昭和の大合併で農漁村主体の市が誕生したことにより、市は必ずしも都市を意味するものではなくなりました。その反面、都市的な市街地を有しながらも市制施行に至らず、町制を継続している町もあります。北海道静内町、宮城県迫町、徳島県池田町、山口県小郡町などは、市のように都市的な市街地を形成しています。このような町を私的造語でスーパータウンと呼びます。当ページは、昭和45年国勢調査および昭和47年事業所統計調査を基に、全国の町の中からスーパータウンを選出し、一覧表にまとめたページです。
1・基礎データ
 基礎データは、総理府統計局発刊「昭和47年事業所統計調査報告 別巻 国勢統計区,人口集中地区編」および「昭和45年国勢調査報告 わが国の人口集中地区」です。
 昭和35年の国勢調査から人口集中地区が設定されるようになり、より具体的に都市の大きさを知ることができるようになりました。人口集中地区とは、市区町村の区域内で人口密度が4,000人/km2以上の調査区が互いに隣接して人口が5,000人以上となる地区のことで、国勢調査ごとに設定され、都市的地域と農村的地域の区分や、市街地の規模を示す指標として使用されます。
 しかし、人口集中地区(市街地)の人口をもって都市の大小を量っても、感覚的な都市の大きさとズレが生じることが多いようです。本当の都市の大きさを知りたい。そのために、人口集中地区(市街地)の人口だけでなく、都市機能の集積量も知りたい。だが、その資料がありませんでした。
 ところが、昭和49年に総理府統計局が発刊した「昭和47年事業所統計調査報告 別巻 国勢統計区,人口集中地区編」は、そのもやもやを晴らしてくれるに十分な一冊となりました。そこに記録された人口集中地区(市街地)ごとの産業別従業者数を基礎データにして、自分なりの考えでデータ加工することにより、感覚的なものを数値にして表わすことができるようになりました。ただし、人口集中地区(市街地)に関する事業所統計調査が図書として発刊されたのは、この一冊が最初で最後でした。
2・都市規模の算出
 産業は昭和47年改定の日本標準産業分類により、製造業、卸売業小売業など14項目に大分類されます。しかし、産業の立地は不均等で、都市に多く立地するものと、そうでないものがあります。たとえば、金融保険業は都市でなければ成り立ちにくい産業で、従業者の93%は人口集中地区(市街地)に従事しています。それに対して、製造業は都市以外でも成り立ちやすい産業で、人口集中地区(市街地)に従事する従業者は60%にとどまります。
 都市でなければ成り立ちにくい産業として、金融保険業のほかに、不動産業、卸売業小売業などがありますが、当ページでは、人口集中地区(市街地)に従事する金融保険業と卸売業小売業の従業者数の和をもって都市規模とします。都市規模=金融保険業従業者数+卸売業小売業従業者数。
3・スーパータウンの選出
 スーパータウンとは、市のように都市らしい町を指す私的造語ですが、人口集中地区(市街地)で従事する金融保険業と卸売業小売業の従業者数の和が1,500人以上の市街地は、町であっても市のような景観をしていると判断し、都市規模3,548の山口県小郡から1,506の福島県本宮まで、47のスーパータウンを選出しました。スーパータウン=都市規模(金融保険業従業者数+卸売業小売業従業者数)1,500以上
4・都市規模換算人口の算出
 都市規模の数値を人口に換算すると、より具体的に都市の規模がイメージできます。全国平均で、8人に1人が金融保険業、卸売業小売業に従事しています。そこで、都市規模に係数8を乗じて都市規模換算人口とします。都市規模換算人口=都市規模×8
5・人口集中地区人口
 人口集中地区(市街地)の人口は、昭和45年国勢調査の人口集中地区人口を用います。ちなみに、宮城県大河原町は町域全体の人口が16,033人ですが、人口集中地区(市街地)の人口は8,198人です。
6・都市機能充足率の算出
 スーパータウンには、都市規模換算人口が人口集中地区人口を上回るものと、下回るものがあります。上回るものは、地域の中心都市として周辺から買い物客などを集める自立型。下回るものは中心性が弱く、ほかの都市へ買い物客などが流出する依存型とみなします。この尺度として充足率を算出します。充足率が100%未満は依存型です。充足率=都市規模換算人口÷人口集中地区人口
7・スーパータウン一覧
 グレーで着色した町は、昭和47年9月1日以降に市制へ移行しています。
順位 道府県名 町名 都市規模換算人口
単位:人
人口集中地区人口
単位:人
都市機能充足率
単位:%
変革
山口県 小郡町 28,384 9,604 296 2005年、山口市に合併
京都府 長岡町 25,616 43,563 59 1972年、単独で長岡京市
北海道 岩内町 23,392 22,791 103  
北海道 美幌町 21,648 17,783 122  
北海道 余市町 21,040 16,713 126  
広島県 五日市町 20,992 27,995 75 1985年、広島市に合併
北海道 遠軽町 20,184 14,595 138  
北海道 静内町 20,144 12,666 159 2006年、合併して新ひだか町
香川県 琴平町 20,032 10,173 197  
10 宮城県 迫町 18,880 5,659 334 2005年、合併して登米市
11 和歌山県 湯浅町 18,000 10,958 164  
12 京都府 向日町 17,680 34,333 51 1972年、単独で向日市
13 広島県 廿日市町 17,000 17,157 99 1988年、単独で廿日市市
14 長野県 下諏訪町 16,976 23,378 73  
15 秋田県 鷹巣町 16,968 7,635 220 2006年、合併して北秋田市
16 新潟県 巻町 16,648 10,466 159 2005年、新潟市に合併
17 北海道 倶知安町 16,640 11,071 150  
18 佐賀県 有田町 16,120 8,288 194  
19 徳島県 池田町 15,784 6,773 233 2006年、合併して三好市
20 福岡県 前原町 15,664 5,720 274 1992年、単独で前原市
21 千葉県 浦安町 15,368 19,312 80 1981年、単独で浦安市
22 広島県 海田町 15,304 20,557 74  
23 北海道 浦河町 15,280 10,206 150  
24 広島県 府中町 15,048 39,285 38  
25 長崎県 厳原町 14,664 9,131 161 2004年、合併して対馬市
26 神奈川県 湯河原町 14,616 17,025 86  
27 高知県 土佐山田町 13,976 8,483 165 2006年、合併して香美市
28 福岡県 古賀町 13,944 14,359 97 1997年、単独で古賀市
29 富山県 福光町 13,928 6,842 204 2004年、合併して南砺市
30 埼玉県 幸手町 13,528 12,263 110 1986年、単独で幸手市
31 宮城県 大河原町 13,424 8,198 164  
32 福井県 三国町 13,408 9,403 143 2006年、合併して坂井市
33 北海道 中標津町 13,376 8,417 159  
34 新潟県 亀田町 13,328 16,761 80 2005年、新潟市に合併
35 群馬県 新町 13,096 12,885 102 2006年、高崎市に合併
36 鹿児島県 志布志町 13,064 8,861 147 2006年、合併して志布志市
37 鹿児島県 加治木町 13,024 8,522 153 2010年、合併して姶良市
38 京都府 峰山町 12,920 5,361 241 2004年、合併して京丹後市
39 新潟県 水原町 12,880 7,837 164 2004年、合併して阿賀野市
40 兵庫県 山崎町 12,824 6,266 205 2005年、合併して宍粟市
41 福島県 保原町 12,768 5,660 226 2006年、合併して伊達市
42 岐阜県 笠松町 12,744 14,981 85  
43 兵庫県 篠山町 12,672 6,116 207 1999年、合併して篠山市
44 北海道 栗山町 12,416 7,781 160  
45 愛知県 西枇杷島町 12,384 17,204 72 2005年、合併して清洲市 
46 和歌山県 那智勝浦町 12,224 7,327 167  
47 福島県 本宮町 12,048 5,360 225 2007年、合併して本宮市

8・準スーパータウン
 スーパータウンの基準に僅かにおよばず、スーパータウンに選出されなかった町があります。これを準スーパータウンとします。準スーパータウンの条件は、人口集中地区(市街地)で従事する金融保険業および卸売業小売業の従業者数が1,200から1,499人の町、つまり、都市規模換算人口が9,600から12,000人の町で、下に掲げる39町が該当します。
北海道(江差町、斜里町、八雲町、羽幌町)、宮城県(涌谷町、若柳町、中新田町)、福島県(梁川町、川俣町)、茨城県大洗町、栃木県(烏山町、西那須野町)、群馬県(大泉町、大間々町)、埼玉県(小川町、寄居町)、千葉県大原町、長野県丸子町、新潟県(村松町、中条町、小出町、吉田町、六日町)、富山県上市町、岐阜県(八幡町、神岡町)、愛知県(田原町、新川町)、滋賀県水口町、兵庫県南淡町、奈良県王寺町、和歌山県串本町、島根県大社町、香川県大内町、福岡県(瀬高町、苅田町、芦屋町)、佐賀県嬉野町、鹿児島県宮之城町
 また、地域の中で中心性を発揮しながら、統計上の人口集中地区を形成しないため、スーパータウンの対象から外された町に、宮城県築館町と宮崎県高鍋町があります。この2町の実態は、スーパータウンまたは準スーパータウンと推測します。
9・スーパータウンを下回る市
 スーパータウンが存在する一方で、市なのに人口集中地区で従事する金融・保険、卸売小売業の従業者数が1,000人に満たない市、あるいは人口集中地区を形成しない市も数多くありました。それを下に列挙します。
歌志内市、江刺市、陸前高田市、名取市、泉市、東根市、下妻市、北茨城市、岩井市、北本市、八潮市、三郷市、流山市、富津市、武蔵村山市、稲城市、秋川市、海老名市、珠洲市、更埴市、裾野市、湖西市、知多市、尾張旭市、豊明市、交野市、備前市、長門市、美祢市、北条市、小郡市、多久市、松浦市、杵築市、宇佐市、串間市、西都市、えびの市、加世田市、垂水市、石川市、具志川市
このリストは昭和47年当時のデータに基づくものです。
おわりに
 人口集中地区(市街地)に関する事業所統計調査報告が紙ベースの図書として発行されたのは、「昭和47年事業所統計調査報告 別巻 国勢統計区,人口集中地区編」が最初で最後です。同じ手法で現代のスーパータウンを選出しようとしても資料がありません。ところが現在、これに代わるものとして、地域メッシュ統計が販売されているのですが、高価で手が出ません。県立図書館などで閲覧できればよいのですが、まだ、そこまで整備されていないようです。
 なお当ページの姉妹編にあたる スーパータウン列伝 昭和47年版に、個々のスーパータウンについて寸評を掲載していますのでご覧ください。
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