大河原の街並み景観
地理と地域スーパータウン大河原
大河原の街並み景観
制作:千本桜 歌麿
設置日:2007.2.7
最終更新日:2020.12.20
E-mail:tiritotiiki@gmail.com
国道4号(大河原町字広表) 2016年11月撮影

はじめに
地図
 当ページは、宮城県南部の仙南地域に位置する大河原町の街並みを観察するページです。1985年に国道4号大河原バイパス(公称は柴田バイパス)が全通。以来30数年、大河原は仙南の中心都市に向かって走り続けてきたように感じます。次々に完成した広域型の都市施設がそれを物語っています。1993年に大河原駅前広場が完成。続いて1994年大河原町総合体育館「はねっこアリーナ」・大型店「フォルテ」、1995年大河原警察署新庁舎、1996年仙南芸術文化センター「えずこホール」、1999年大河原社会保険事務所・仙南運転免許センター、2000年大河原駅前再開発ビル「オーガ」、2001年法務局大河原支局新庁舎、そして2002年みやぎ県南中核病院が完成。それに加えて中型・大型店の相次ぐ出店。街の景観が変わり、大河原に寄せる人の意識が変わり、地域における大河原の役割が変わります。17万人が住む仙南地域の中枢を担う大河原ですが、多くの町民はいまでも小さな町の住民感覚でいます。町なのに市のような都市機能を集めて変貌する大河原の街並みを観察してみましょう。
目 次
1・大河原駅周辺 大河原駅に降り立つと、きれいに整備された駅前広場や再開発ビル「オーガ」が目に飛び込んできて、町なのに市のような印象を受けます。町の玄関口である大河原駅周辺の景観を9枚の写真を用いて紹介します。

2・駅前通り 駅前通りは大河原駅を起点とし、白石川に架かる尾形橋を通って国道4号快活クラブ前交差点へ至る街路です。大河原町のメインストリートにあたる駅前通りの景観を8枚の写真を用いて紹介します。

3・奥州街道大河原宿 奥州街道の宿場から発展した上町・中町・本町・新田町は、大河原でもっとも古い街並みです。今はさびれてしまいましたが、大河原町の中心商店街としてにぎわった奥州街道沿いの街並みを8枚の写真を用いて紹介します。

4・ラベンダーロード ラベンダーロードは宮城県大河原合同庁舎付近を起点とし、町役場前を通って大河原中学校前に至る街路です。7月には歩道に植栽されたラベンダーが紫色の花を咲かせます。沿道の景観を4枚の写真を用いて紹介します。

5・広表地区 広表地区は現在、相次ぐ住宅の新築で人口が増加し、大河原町内で最も活力のあるエリアとなっています。広表地区の西端「みやぎ生協」から東端「洋服の青山」まで、およそ1キロメートルの区間を7枚の写真を用いて紹介します。

6・国道4号大河原バイパス仙台方向 大河原バイパス沿道は仙南随一の商業地です。青山前交差点(旧国道4号分岐点)からヤンマー商会前交差点(村田街道分岐点)に至る区間の景観を、福島方向から仙台方向へ向かって撮影した8枚の写真を用いて紹介します。

7・国道4号大河原バイパス福島方向 大河原バイパス沿道はロードサイドショップが建ち並んでいます。ヤンマー商会前交差点から青山前交差点に至る2キロメートル区間の景観を、仙台方向から福島方向へ向かって撮影した7枚の写真を用いて紹介します。

8・村田街道 国道4号交差点から村田町境までの村田街道900メートル区間は、仙南広域消防本部・仙南芸術文化センター・大型店フォルテなどが立地し、仙南の中核ゾーンとなっています。大型都市施設が集まる村田街道の沿道を9枚の写真を用いて紹介します。

9・旧国道4号  現在の国道4号大河原バイパスが開通する以前は、こちらが国道4号でした。宮城県大河原合同庁舎・柴田農林高校・法務局大河原支局・宮城トヨタ・大河原商業高校などが点在する旧国道4号沿道を5枚の写真を用いて紹介します。



1・大河原駅周辺
 大河原駅に降り立つと、きれいに整備された駅前広場や再開発ビル「オーガ」が目に飛び込んできて、町なのに市のような印象を受けます。かつて駅前にはバスターミナルがあり、村田町・川崎町・蔵王町・角田市および蔵王国定公園への玄関口としてにぎわっていました。しかし、今では路線バスが激減し、鉄道とバスをつなぐ中継機能がなくなり、駅周辺に滞留する人も減少し、にぎわいは国道4号大河原バイパス沿道へ完全移動しています。大河原の発展に大きな役割をはたしてきた大河原駅とその周辺の街並みを歩いてみます。


写真 大河原駅 撮影2016.11 地図
大河原駅は県内で最も歴史の古い駅の1つです。1887年、県内に白石・大河原・岩沼・仙台・塩釜の5駅が開業。以来、大河原駅は地域の玄関口として大きな役割を果たしてきました。JR東日本によると、仙南主要駅の2019年度1日当たり乗車人員は、大河原駅3,391人、船岡駅3,319人、白石駅2,860人、槻木駅2,760人で、大河原駅と船岡駅が僅差でデッドヒートを展開しています。

写真 駅前広場 撮影2016.11 地図
わずか100メートル四方の空間だけですが、大河原駅前は仙南地域で最もおしゃれな都市景観をしています。仙南地域の中心都市整備の一環として設けられた駅前広場はデザインが都市的で、5月には街路樹のマロニエに赤い花が咲きます。以前は駅前から東京行き夜行バスが出ていましたが2009年に廃止されました。乗り換えなしで東京へ直行できる電車やバスがないのは残念です。

写真 駅前交番 撮影2016.11 地図
1999年、駅前広場に大正時代の建築を模した駅前交番が設置されました。駅前交番という言葉には、どこか都会を感じさせる響きがあります。田舎の小さな駅には駅前交番が必要ないし、あっても駐在所だったりします。県内で「駅前交番」を名乗る交番が設置されているのは、古川駅・石巻駅・塩釜駅・白石駅・大河原駅だけです。町なのに駅前交番があるのは珍しいと思います。

写真 オーガ 撮影2016.11 地図
駅前で最も存在感があるのは、2000年に完成した4階建ての再開発ビル「オーガ」です。当初は1階に盛岡の食品スーパー「ファル」が入居しましたが、短期間で撤退しました。現在は1階に仙南信用金庫・ハローワーク・大同生命・一般小売店舗、2階に図書館・イベントホール・全労済・住友生命などが入居し、3階・4階・屋上は2時間まで無料の駐車場となっています。

写真 エレベーター 撮影2016.11 地図
はたしてそれが宮城県で初めてのシースルーエレベーターであったか記憶は曖昧ですが、仙台のジャスコ(現在のフォーラス)にシースルーエレベーターがお目見えしたときは、その都会的な雰囲気に感激したものです。2000年4月、大河原にもシースルーエレベーターができました。オーガのシースルーエレベーターから駅前広場を見下ろすとき、ちょっと都会性を感じたりします。

写真 駅北通り 撮影2016.11 地図
駅北通りは駅前再開発の一環として新設された街路で、駅前通りの混雑回避やオーガ駐車場への出入口として利用されています。延長わずか70メートル。交通量は多くありませんが、駅北通りの新設で駅前に都市としての厚みが出たように感じます。写真左手は居酒屋・スナックなどの飲食店が入居するニコニコビル、右手は駅前再開発ビルのオーガ、突き当たりは駅前タクシープールです。

写真 尾形丁中央通り 撮影2016.11 地図
尾形丁は駅前地区の通称で、住所は大谷字町向などと表します。昭和30年代の尾形丁は映画館が3館(大河原劇場・文化劇場・中央劇場)あってにぎやかでした。写真は尾形丁中央通りと駅前通りの交差点を捉えていますが、2013年に仙台銀行が末広へ移転。跡地には3階建てのアパート(写真左手前)が建ちました。銀行の跡地がアパートになるのは都市の劣化現象でしょう。

写真 駅南商店街 撮影2016.11 地図
中島踏切と駅を結ぶ駅南商店街を撮影しました。街路灯が並んでいるので商店街らしく見えますが、廃業した店が目立ちます。しもた屋に混じって商店や飲食店が点在する道幅の狭い街路です。少し曖昧な記憶ですが、昭和20年・30年代は、この道路を角田行きのバスが走っていたと憶えています。こんな狭い道を路線バスが走るなんて今では考えられません。正面突き当たりは駅前広場です。

写真 駅東口 撮影2016.11 地図
東口は駅裏に当たりますが、暗いとかゴミゴミした雰囲気はありません。この一帯は昭和30年代に大規模な土地区画整理事業が行われ、それまでの農地は駅から近くて便利な市街地に変貌しました。これが大河原町で最初の土地区画整理事業でした。町はその後も次々に土地区画整理事業を実施し、計画的に新市街地を造成してきました。大河原町は土地区画整理事業の優等生なのです。



2・駅前通り
 駅前通りは大河原駅から尾形橋を通って国道4号快活クラブ前交差点に至る街路です。近年まで、駅前ビル「オーガ」前の駅前通りは、大河原で最も地価評価額の高い路線でしたが、現在は国道4号沿道にその座を明け渡しています。尾形橋に立てば、川幅150メートルの白石川と一目千本桜が織りなす空間に安らぎを感じるでしょう。対岸に渡って栄町商店街を進み、奥州街道に発達した宿場町の上町・中町を横断すると、その先には昭和50年・60年代に造成された新市街地が開けています。区間ごとに雰囲気が変わる駅前通りを歩いてみます。


写真 駅前通り尾形橋方向 撮影2016.11 地図
駅から尾形橋に向かって駅前通りを撮影しました。右手の建物は駅前ビル「オーガ」です。オーガ前は長年にわたり町内の最高路線価を保持してきましたが下落が止まらず、2016年分の評価額は国道4号ツタヤ(現 快活クラブ)前と同額の1平方メートル当たり32,000円まで下落。2020年分では国道4号快活クラブ前の37,000円に対し、オーガ前の駅前通りは32,000円となっています。

写真 駅前通り駅方向 撮影2016.11 地図
尾形橋から駅へ向かって駅前通りを撮影しました。左手前の3階建ては我妻美容院、右手前の3階建ては朝日生命ビルです。このあたりの住所は大谷字町向ですが、通称は尾形丁といいます。1922年から1937年まで、この駅前通りを遠刈田温泉行きの軽便鉄道が走っていました。大河原駅から沼辺・村田・円田・永野を経由して遠刈田温泉に至る、延長26.6キロメートルの鉄道でした。

写真 尾形橋 撮影2016.11 地図
駅を背にして尾形橋を撮影しました。尾形橋は駅から徒歩3分、白石川に架かる橋です。橋に差しかかると急に視界が開けて蔵王連峰が見えてきます。白石川・尾形橋・NTTの鉄塔・遠くに望む蔵王連峰。この景色を原風景として育った大河原町民は多いことでしょう。この先、駅前通りは栄町商店街・商工会館前・大河原郵便局前を通って国道4号ツタヤ(現在は快活クラブ)前へと延びています。

写真 白石川 撮影2016.11 地図
尾形橋から下流へ向かって白石川を撮影しました。中央に見える橋は県道14号亘理大河原川崎線に架かる末広橋です。白石川は阿武隈川の最大支流で、左岸には江戸期の大河原宿から発展した市街が広がり、右岸には明治期の鉄道駅開設で発展した大谷の市街が広がっています。両岸に連なる桜並木は一目千本桜と呼ばれ、春には大勢の花見客でにぎわいますが、秋の紅葉もみごとです。

写真 栄町国道4号方向 撮影2016.11 地図
尾形橋たもとから国道4号方面へ向かって栄町を撮影しました。栄町は尾形橋の架け替えを契機に旧店舗はすべて解体され、新たに店舗併用住宅として鉄筋コンクリートの店舗に建て替えられました。右手前の店は大河原銘菓「晒よし飴」の市場家、その70メートル先には仙台銘菓「萩の月」で知られる菓匠三全 の栄町店があります。後方に見える赤白のタワーはNTTの鉄塔です。

写真 栄町大河原駅方向 撮影2016.11 地図
竹川商店前交差点から大河原駅方面へ向かって栄町を撮影しました。栄町は街路名の俗称で、住所は字町、通称は中町および上町と呼ばれています。延長110メートルの商店街ですが、建物が隙間なく連結して密集感のある街並みとなっています。駅前通りと交差するのは奥州街道で、宿場町大河原のメインストリートです。交差点を左折すると中町、右折すると上町の街並みが展開します。

写真 ローソン新南店交差点 撮影2016.11 地図
国道4号方面へ向かってローソン新南店前交差点を撮影しました。交差点にはホシザキ東北などが入居する船田ビルやアイル新南ビルがあります。業務用厨房機器のホシザキは全国主要都市に営業所を開設。県内では仙台・気仙沼・石巻・大崎・大河原に設置しています。ただし、営業所名は大河原営業所ではなく仙台南営業所です。大河原を名乗ってもらえないところに大河原の弱さがあります。

写真 公証役場 撮影2016.11 地図
船田ビル前から国道4号方面へ向かって駅前通りを撮影しました。手前から順に、学習塾などが入居するアイル新南ビル・公証役場・大河原郵便局が並んでいます。公証役場は小さな建物ですが、これぞ大河原がスーパータウンたる証人です。全国792市のうち、575市には公証役場がありません。それが大河原にはあるのです。しかも、大河原は公証役場が置かれた全国でただ1つの珍しい町です。



3・奥州街道 大河原宿
 宿駅名を詠み込んだ道中歌に「長町や中田の馬を増田まで、もの岩沼に槻木の土手、船迫恋しき人に大河原」とあります。大河原は仙台から数えて7番目の宿場でした。宿場のエリアは住所を字町といい、通称を上町・中町・本町・新田町といいます。上町には裁判所・国登録有形文化財の佐藤屋邸 ・中央公民館などがありますが、静かで落ち着いた街並みです。中町と本町は大河原の中心商店街でしたが、店の廃業と敷地の駐車場化が進行し、櫛の歯が欠けたような街並みとなっています。奥州街道大河原宿を起源とする上町・中町・本町を歩いてみます。


写真 裁判所 撮影2016.11 地図
裁判所は上町の外れにあり、庁舎には地方裁判所支部・家庭裁判所支部・簡易裁判所が入居しています。簡易裁判所は全国に多数ありますが、地方裁判所支部は限られた都市にだけ置かれています。人口64万の船橋市や58万の八王子市にも地方裁判所支部はありません。それなのに大河原には地方裁判所支部があります。確かにスーパータウンですが、発展速度の遅かった町とも言えます。

写真 大河原宿 撮影2016.11 地図
裁判所前から奥州街道大河原宿の街並みを撮影しました。手前から奥に向かって上町・中町・本町・新田町の街並みが続いています。江戸期から大河原のメインストリートでしたが、今となっては旧市街と呼ぶのがふさわしい街並みです。ただし、旧市街といっても古い建物は残っていません。上町の大河原カトリック教会は大正時代の建築ですが、ほかは昭和以降の建築です。

写真 カトリック教会 撮影2016.11 地図
上町の大河原カトリック教会は、鶴岡カトリック教会天主堂(現在は国重要文化財)をモデルにして1915年に建てられた町内初の洋風建築です。この上町ですが、大河原では「かみまち」、花巻では「かみちょう」、福島では「うわまち」、大阪では「うえまち」、鹿児島では「かんまち」と読むからややこしい。大河原でも昔の人は「かんまち」と発音していました。

写真 上町 撮影2016.11 地図
NTT前から裁判所へ向かって上町を撮影しました。正面突き当たりが裁判所です。大正時代の上町は活気のある街だったそうです。昭和30年代のころでもヤマコメ味噌醤油・森巳醸造・玉松味噌醤油の工場が並び、警察署もあったことを思えば、昔は中町・本町と並ぶ中心街だったのでしょう。左手の白壁の蔵は大地主佐藤家の建物です。佐藤家住宅は2017年に国登録有形文化財に登録されました。

写真 中町 撮影2016.11 地図
上町から中町・本町を撮影しました。中町・本町は中心商店街でしたから、思い出が詰まった街です。最も足を運んだのは本屋の観光堂です。呉服店が多かったのも中町・本町の特徴です。それは中町・本町が町一番の中心商店街だった証です。また、中町の帽子専門店に大河原の中心性を感じたりしたものです。普通の町には帽子専門店は存在しないでしょう。現在は街路灯が撤去されています。

写真 本町 撮影2016.11 地図
玉山食堂前から上町へ向かって本町・中町商店街を撮影しました。本町・中町は明治〜昭和中期を通して柴田郡随一の商店街でしたが、アーケードはもとより歩道さえも設置されておらず、白石や角田の商店街に比べると見劣りのする街並みでした。今でも本町・中町は名目上の中心商店街に位置付けられていますが、商業活動は国道4号沿道に完全移転しています。現在は街路灯が撤去されています。

写真 西の寺 最勝院 撮影2016.11 地図
大河原は明治以来、広域行政の中心地でしたが歴史的な建物が残っていません。上町にあった疑洋風建築の警察署や尾形丁にあったキリスト教会の白い塔などが現存していれば、風情のある街並みになっていたと思います。このような中で目を引くのは、西の寺と呼ばれる最勝院の山門と、東の寺と呼ばれる繁昌院の鐘楼です。でも、どちらも新しい建築ですから歴史の深みはありません。

写真 東の寺 繁昌院 撮影2016.11 地図
最勝院と繁昌院は本町・中町商店街を挟んで向かい合っていますが、どちらも奥まっているので見落としがちです。尾形橋から眺める繁昌院の鐘楼はシルエットが美しく、白石川のほとりに風情を添えてたたずんでいます。この鐘楼のあたりには1926年まで柴田郡役所があり、1984年まで町役場が所在していました。町役場は現在、新市街地のラベンダーロードに移転しています。



4・ラベンダーロード
 国道4号に並行してラベンダーロードが走っています。ラベンダーロードは旧国道の大河原合同庁舎付近を起点とし、町役場前を通って大河原中学校前に至る街路で、7月には歩道のラベンダーが咲き香ります。もし、大河原がもっと大きな都市だったならビジネス街になっていたと思われる街路ですが、中学校前で行き止まりなのが残念。中学校を突き抜けて県道14号亘理大河原川崎線に直結していたなら、もっと活用度の高い街路になっていたでしょう。発展を期待させながら、どこか中途半端なラベンダーロードを歩いてみます。


写真 大河原合同庁舎付近 撮影2016.11 地図
合同庁舎付近から大河原中学校方面に向かってラベンダーロードを撮影しました。右側の建物が合同庁舎ですが、旧国道側が入口なのでラベンダーロード側からは入れません。沿道には仙南建設会館・年金事務所・町役場・ツルハドラッグ・KYビル・ローソン・和洋亭ぶざん・大河原耳鼻咽喉科などが立地し、夏には街路樹の下に植えられたラベンダーが咲きます。正面突き当たりは大河原中学校です。

写真 大河原年金事務所 撮影2016.11 地図
大河原中学校方面へ向かってラベンダーロードを撮影しました。手前から順に大河原年金事務所・大河原町役場・KYビルが写っています。2020年12月現在、全国には792の市がありますが、人口59万を擁する埼玉県川口市をはじめ、566の市には年金事務所がありません。そのような中で年金事務所が置かれた大河原は、町を超越して市に食い込むスーパータウンなのです。

写真 KYビル 撮影2016.11 地図
旧国道方面に向かってラベンダーロードを撮影しました。左のビルがオフィスビルのKYビル、その後方に町役場が見えます。低層建物が連なる大河原にあって、5階建てのKYビルは都市的に見えます。KYビルにはオーナーの八重樫工務店のほか、綜合警備保障・富士ゼロックス・ジブラルタ生命の3社が入居していますが、3社とも大河原を営業拠点にして仙南全域をカバーしています。

写真 大河原町役場 撮影2016.11 地図
かつて町役場は字町の繁昌院の隣にありましたが、1984年に現在地に移転しました。国道バイパス建設に絡んで造成された土地区画整理地内にあり、計画性のある街路、広々した駐車場、どれをとっても仙南地域で最も利便性に優れた役場だと思います。役場前の街路をラベンダーロードと呼んでいましたが、近年はその呼称を耳にしなくなりました。主要な街路には愛称があれば便利だと思います。



5・広表地区
 金ヶ瀬地区を走る国道4号の北側一帯に、みやぎ生協・ケーヨーデイツー・ユニクロ・ケーズデンキ・カワチ薬品・青山などのカテゴリーキラーが建ち並んでいるエリアがあります。土地区画整理事業により、水田地帯から新市街地に生まれ変わった広表地区です。広表地区は現在、相次ぐ住宅の新築で人口が増加し、大河原町内で最も活力のあるエリアとなっています。広表地区西端のみやぎ生協から東端の青山まで、およそ1キロの区間を歩いてみます。


写真 国道4号広表地区 撮影2016.11 地図
国道4号と仙南東部広域農道が交わる金ヶ瀬交差点から仙台方向を撮影しました。左から順にユニクロ・ギフトプラザ・ケーズデンキ・ドコモショップかながせ店・カワチ薬品・シャンブル&アベイル・洋服の青山が写っています。大型店や中型店が建ち並び、その背後に8階建てのグリーンホテルが見える景観は都市的で、10万都市の郊外商業集積地に匹敵する顔をしています。

写真 みやぎ生協 撮影2016.11 地図
金ヶ瀬交差点には、みやぎ生協・ケーヨーデイツー・セブンイレブンが店を構えています。隣接する大河原町と柴田町はスーパーの激戦区。大河原町(みやぎ生協・フレスコキクチ・SUPERビッグ・ヨークベニマルなど)と柴田町(イオン・イトーチェーン・ザ・ビック・ヨークベニマルなど)が町境を跨いで商戦を展開するなか、白石市に出店したヤマザワも参入して混戦状態になっています。

写真 ケーヨーデイツー 撮影2016.11 地図
ケーヨーデイツーは金ヶ瀬交差点に店を構え、同じ敷地内にユニクロ・ギフトプラザ・カレーハウスCoCo壱番屋も出店しています。大河原町と柴田町はホームセンターの激戦区。大河原町のケーヨーデイツー・ダイユーエイト、柴田町のダイシン・ホーマックがしのぎを削るなか、名取市の巨大ホームセンター、ムサシとスーパービバホームが時々、チラシ攻撃を仕掛けてきます。

写真 ケーズデンキ 撮影2016.11 地図
ケーズデンキは店舗面積が広く、大河原ではフォルテ・ケーヨーデイツーに次ぐ大規模店舗です。ケーズデンキの南側を国道4号が走り、北側を道幅16メートルの太い町道が走っています。この町道沿いは空き地が残る新興市街地ですが、すでに住宅百貨ワカキ・フードコート・保険事務所・もちぶた館などが店舗を構えるほか、今なお小規模な出店ラッシュが続くホットゾーンです。

写真 カワチ薬品 撮影2016.11 地図
仙南地域で目につくドラッグストアはツルハと薬王堂で、七ヶ宿町を除くすべての市町にツルハまたは薬王堂があります。大河原町にはカワチ薬品・サンドラッグ・ツルハ(町内に3店舗)・マツモトキヨシ・ウエルシアが出店。中でもカワチ薬品大河原店は仙南最大のドラッグストアで、近隣の市町からも集客します。付近には作業用品プロノ・ドコモショップかながせ店・ケーキ専門店などがあります。

写真 グリーンホテル 撮影2016.11 地図
県道115号蔵王大河原線に面したグリーンホテル大河原は8階建て154室。大河原町で唯一のホテルにして仙南最大のビジネスホテルです。競合するのは柴田町のホテル原田inさくら・角田市のグリーンホテル角田・白石市のパシフィックホテル白石でしょう。付近には100円ショップのザ・ダイソー・しまむらグループのアベイル・シャンブル・バースデイ・焼肉やまなか家などが店を構えています。

写真 洋服の青山 撮影2016.11 地図
大きな看板が目立つ青山は広表地区の東端にあります。ここは国道4号と旧国道および県道115号線の交差点。広表地区へ商業が集積するにつれて交通量が増えてきました。国道4号が傾斜しながらカーブする交差点はスリリングですが、激しく行き交う車を眺めているとエネルギッシュな躍動を感じたりもします。周辺にはツルハドラッグ・日産プリンス・オートバックスなどが店を構えています。



6・国道4号大河原バイパス仙台方向
 国道4号を福島から仙台方面へ向かって走行し、ユニクロ・ケーズデンキなどが建ち並ぶ広表地区を左に見ながら進むと、大きな看板が目印の洋服の青山前交差点に着きます。ここが大河原バイパスの起点です。正式名は柴田バイパスですが、大河原町内の区間は大河原バイパスと呼ばれることが多いので、ここでは大河原バイパスと呼ぶことにします。大河原バイパスは17万人が住む仙南地域の中心商業地です。どのような店舗があるのか確認しながら、青山前交差点(旧国道との交差点)からヤンマー商会前交差点(県道14号線との交差点)まで、およそ2キロの区間を歩いてみます。


写真 青山前交差点 撮影2016.11 地図
名前のない交差点なので、店名を借りて青山前交差点とします。ここが大河原バイパスの起点です。交差点には洋服の青山・中古車販売セントス・日産プリンスが立地し、周辺にはオートバックス・ファッションセンターしまむら・仙台トヨペット・住宅販売アイムの家などが建ち並んでいます。交差点を左折すると県道115号線で蔵王町へ、右折すると旧国道で柴田町船岡へ到達します。

写真 仙台方向ズームイン 撮影2016.11 地図
ファッションセンターしまむら前で仙台方向をズーム撮影しました。大河原バイパスは県内有数のロードサイドショップ密集地です。ロードサイドショップが建ち並び、1日3万台の車両が行き交う大河原バイパスを眺めていると、ここが仙南地域のセンターなのだと実感します。なお、1日5万台の車両が通過する名取バイパスでは、看板がより大きく、より高く、より派手になります。

写真 カーセブン前交差点 撮影2016.11 地図
名前のない交差点なので、店名を借りてカーセブン前交差点とします。交差点には中古車販売カーセブン・オカモトセルフGS・焼肉店らんぷが立地し、周辺には食品スーパーのフレスコキクチ・エネオスGS・宮城ダイハツ・和風レストランまるまつ・食品スーパーのビッグ ・酒のやまや・蔵八ラーメン亭・カラオケ自遊時間・ABCマート・かっぱ寿司などが建ち並んでいます。

写真 三越 撮影2016.11 地図
かつて百貨店は都市のシンボルでした。百貨店があるだけで都市のステータスがアップしたように感じられたものです。大河原には三越の小型店があります。小型店でも三越があると町の格がアップしたように感じるから不思議です。派手な店舗や看板が建ち並ぶ大河原バイパスを嫌う人もいますが、三越の店舗はシンプルで上品です。なお、白石市と柴田町には藤崎百貨店の小型店があります。

写真 快活クラブ前交差点 撮影2016.11 地図
名前のない交差点なので、店名を借りて快活クラブ前交差点とします。交差点には快活クラブ・宮城スバル・メガネの弐萬圓堂・大河原歯科医院が立地し、周辺には三越・菜々家・ステーキけん・タイヤ館・パーラービッグウェーブツー・炭火焼ブルスタオラムー・ドコモショップ大河原店・ブックオフなどが建ち並んでいます。2020年にツタヤが撤退し、その跡に快活クラブが入居しました。

写真 仏壇センター前交差点 撮影2016.11 地図
名前のない交差点なので、店名を借りて仏壇センター前交差点とします。交差点には仏壇直売センター・昭和シェルGS・ローソンなどが立地し、周辺にはセブンイレブン・ケンタッキーフライドチキン・作業服ダブルストーン・セカンドストリート・和風れすとらんおぎの・ソフトバンク・auショップ・平禄寿司などが密集しています。交差点を右折すると大河原中学校に到達します。

写真 コナカ前交差点 撮影2016.11 地図
名前のない交差点なので、店名を借りてコナカ前交差点とします。交差点には紳士服のコナカ・眼鏡市場・コスモ石油GS・東京靴流通センターが立地し、周辺にはミスタードーナツ・ワークマン・業務スーパー・書籍CDのスクラム・ガスト・スズキ自販・ゲオ・中華そば はっとり・機械工具商社ウエノ・ヤマダデンキ・ゲームソフトのシーガル・焼肉の牛角などが密集しています。

写真 ヤンマー商会前交差点 撮影2016.11 地図
名前のない交差点なので、店名を借りてヤンマー商会前交差点とします。交差点には宮城ヤンマー商会・萩の月の菓匠三全・阿部蒲鉾店・三色最中本舗・パーラーセントラルが立地し、周辺には吉野家・マツモトキヨシ・ラーメン大志軒・ハードオフ オフハウス・ビッグリバーサイドレストラン ヤミー・イエローハットなどが建ち並んでいます。交差点を左折すると村田インターに到達します。



7・国道4号大河原バイパス福島方向
 国道4号を仙台から福島方面へ走行して大河原町に差し掛かったとたん、ロードサイドショップの群れが目に飛び込んできます。ロードサイドショップが点在しているのではなく、建ち並んでいるのです。大河原町より人口の多い町はたくさんありますが、これほどまでにロードサイドショップが建ち並んでいる町は見たことがありません。仙南地域における大河原の拠点性・中心性の高さにに着目しながら、ヤンマー商会前交差点(県道14号線との交差点)から青山前交差点(旧国道との交差点)まで、およそ2キロの区間を歩いてみます。


写真 ヤンマー商会前交差点 撮影2016.11 地図
福島方面へ向かってヤンマー商会前交差点を撮影しました。ここは大河原バイパスと県道14号亘理大河原川崎線の交差点で、直進すると福島へ、左折すると大河原旧市街へ、右折すると東北自動車道村田インターへ到達します。ここを起点に大河原バイパスの両側には間断なく店舗が張り付いて、車社会のロードサイド商店街を形成しています。大河原を理解する上では必見の街並みです。

写真 福島方向ズームイン 撮影2016.11 地図
イエローハット前で福島方向をズーム撮影しました。4車線道路の中央分離帯に植えられたケヤキ並木に季節を感じます。大手消費者金融のプロミス・アイフル・アコムと銀行系のレイクが無人契約機を設置しているのも大河原バイパスの特徴で、拠点性の高さが感じられます。県内でこの4社すべてが無人契約機を設置しているのは、仙台市・石巻市・大崎市・登米市と大河原町だけです。

写真 ヤマダデンキ 撮影2016.11 地図
仙南地域に出店している家電量販店はヤマダデンキとケーズデンキで、どちらも大河原町に店舗を構えています。仙南地域の自治体人口は柴田町3万9千・白石市3万3千・角田市2万8千・大河原町2万4千ですが、柴田・白石・角田には家電量販店がありません。食料品主体のスーパーは柴田・白石・角田にもありますが、専門性の強い家電量販店や紳士服店は大河原に一極集中しています。

写真 コナカ前交差点 撮影2016.11 地図
撮影時には、コナカ前交差点に紳士服の「コナカ」と「はるやま」が隣り合って出店していました。仙南地域の紳士服チェーン店はコナカ・はるやま・青山の3店で、3店とも大河原に店を構えていました。紳士服チェーン店は1店につき5万人の商圏人口が必要とされていますから、仙南地域は飽和に近い状態だったようです。現在は、はるやまが撤退し、その跡にゲオが入居しています。

写真 ケンタッキー 撮影2016.11 地図
ケンタッキーフライドチキンの店舗は小さいのに意外と目立ちます。大河原にケンタッキーフライドチキンがあるのを見て不思議がる人もいます。酒田市や塩釜市にもない店が人口2万4千の大河原町にあるのですから不思議がるのも当然です。大河原は市に至らない町なのに、ファーストフード店のマクドナルド・ケンタッキーフライドチキン・ミスタードーナツが出そろった珍しい町です。

写真 快活クラブ前交差点 撮影2016.11 地図
国道4号と駅前通りの交差点を撮影しました。撮影時にはツタヤがありましたが撤退し、その跡に快活クラブが入居しました。直進は福島へ、左折は大河原駅へ到達します。飲食店が多いのも大河原バイパスの特徴です。2012年の購買動向調査では、村田町民の73.2%、蔵王町民の58.2%、角田市民の39.9%が外食先として大河原町内をあげています。写真左手は炭火焼ブルスタオラムーです。

写真 カーセブン前交差点 撮影2016.11 地図
カーセブン前交差点から福島方向を撮影しました。このあたりは宮城ダイハツ・仙台トヨペット・日産プリンスなど自動車販売店の多い所です。自動車販売額から拠点性を探ることができます。東北・北海道地区の全町村を自動車自転車販売額の多い順に並べると、第2位の北海道中標津町を抑えて、大河原町がダントツ1位をキープしています。やはり大河原はスーパータウンです。



8・村田街道
 明治28年の宮城県国県道道路表は、大河原より川崎に達する路線を村田街道と表しています。現在は県道14号亘理大河原川崎線となっていますが、ここでは簡略に村田街道と呼ぶことにします。村田街道のうち、国道4号交差点から村田町境までの900メートル区間は道幅の広い4車線道路で、沿道周辺には仙南広域消防本部・仙南芸術文化センター(えずこホール)・大河原町総合体育館・大型店フォルテ・大河原警察署・みやぎ県南中核病院などが立地しています。広域型の都市施設を集めて仙南の中核ゾーンとなった村田街道の沿道を歩いてみます。


写真 村田街道 警察署方向 撮影2016.11 地図
国道4号との交差点に立ち、警察署方面に向かって村田街道を撮影しました。道路左側にはパーラーセントラル・マクドナルド・ホームセンターのダイユーエイト、右側には宮城ヤンマー商会・宮城三菱自動車販売・仙南広域消防本部などが見えます。2015年度交通センサスによると、このあたりの車両通行量は1日当たり16,641台。大河原と東北自動車道村田インターを結ぶ重要な県道です。

写真 村田街道 国道4号方向 撮影2016.11 地図
警察署の前から国道4号方面に向かって村田街道を撮影しました。道路左側にはフォルテ・仙南芸術文化センター(えずこホール)・大河原町総合体育館・仙南広域消防本部、右側には大河原警察署・ツルハドラッグ・ホームセンターのダイユーエイト・みやぎ県南中核病院などがあります。広域的な大型都市施設が集まり、町というより市の雰囲気がありますが、すぐ裏には水田が広がっています。

写真 ダイユーエイト 撮影2016.11 地図
国道4号を北に折れて村田街道へ入った所に、ホームセンターのダイユーエイトがあります。ダイユーエイトの本社は福島市ですが、ほかにも福島県に本社を置く店が目につきます。フォルテに出店したヨークベニマルや広表地区に出店したギフトプラザの本社は郡山市。国道4号沿道のフレスコキクチの本社は相馬市です。背後に見える5階建ての建物は、みやぎ県南中核病院です。

写真 仙南広域総合庁舎 撮影2016.11 地図
写真の建物は2市7町で構成する仙南地域広域行政事務組合の総合庁舎です。庁舎には事務局・仙南広域消防本部・大河原消防署が入居しています。大河原町の面積は狭く、白石市の11分の1しかありません。人口規模は柴田町・白石市・角田市に次いで4番目です。小さな自治体なのに、仙南の中心として大きな都市役割を背負っているのが大河原町の特徴です。

写真 仙南芸術文化センター 撮影2016.11 地図
大河原で最も特徴のある建物は仙南芸術文化センターです。その形から、愛称「えずこホール」と呼ばれています。802席の大ホールと300席の平土間ホールがあり、イベント時には仙南地域以外の人たちも来館しますから、よその地域の人に大河原を知っていただくうえで格好の施設と言えます。「えずこ」 とは、乳児を育てるために使ったワラ製の籠のことです。

写真 不思議なオブジェ 撮影2016.11 地図
仙南芸術文化センターの庭に不思議なオブジェがあります。東京吾妻橋にあるアサヒビールの金色のオブジェを連想させるこの作品は、意味不明なのに力強さを感じさせます。もし、このような芸術作品がもっと人目につく駅前や商店街にあったなら、街は変わるだろうな。左側は愛称「えずこホール」の仙南芸術文化センター、右側は愛称「はねっこアリーナ」の大河原町総合体育館です。

写真 フォルテ 撮影2017.2 地図
1985年に大河原バイパスが開通すると沿道には郊外型店舗が続々と進出し、消滅していた大河原商圏が復活。そして1994年、当時としては県内最大の郊外型店舗としてフォルテが華々しくオープン。それは、大河原が仙南一の商業都市に上り詰めた瞬間でした。しかし、東日本大震災後は2階売場の大部分が休業中で、オープン当時の華やかさは消えています。キーテナントはヨークベニマルです。

写真 大河原警察署 撮影2016.11 地図
大河原署のHPによると、大河原警察署は仙台・古川・石巻の3署と共に宮城県で最も歴史が古く、1877年の創設当時は仙台以南の県南部全域(名取・亘理・柴田・刈田・伊具の5郡)を管轄していたそうです。現在の管轄は柴田郡4町のみですが、仙南ブロック(大河原・白石・角田・亘理の4署)の基幹署ですから、規模の大きな警察署です。1995年、錦町より現在地に新築移転しました。

写真 みやぎ県南中核病院 撮影2016.11 地図
みやぎ県南中核病院は、角田市・大河原町・村田町・柴田町の1市3町で運営する総合病院です。5階建て、310床の病院は2002年に完成しました。病院建設にあたっては、白石・蔵王・七ヶ宿の1市2町が運営する公立刈田綜合病院との間に激しい 論争が起こりました。1つの医療圏に2つの総合病院が必要かをめぐる論争です。白石と大河原、2つの核がある仙南地域ならではの話です。



9・旧国道4号
 1985年に国道4号大河原バイパスが開通すると、それまでの国道は県道になりました。しかし、この県道は管理区分が複雑で、国道4号青山前交差点から甲子町交差点までは県道110号大河原高倉線、甲子町交差点から法務局前交差点までは県道50号白石柴田線、法務局前交差点から柴田町境までは県道14号亘理大河原川崎線と50号白石柴田線の重複区間となっています。複雑すぎるので、ここでは旧国道4号で通します。宮城県大河原合同庁舎・柴田農林高校・法務局大河原支局・宮城トヨタ・大河原商業高校・菓匠三全工場直売店などが点在する旧国道4号沿道を歩いてみます。


写真 宮城県大河原合同庁舎 撮影2016.11 地図
宮城県は県域を7地域に区分し、それぞれに合同庁舎を置いています。大河原合同庁舎には県税事務所・地方振興事務所・土木事務所など県の機関が入居していて、白石市・角田市など管内市町からの来庁者が絶えません。庁舎を訪れる車や人を眺めていると、大河原が仙南の中枢都市であることを実感します。庁舎は1970年の建築ですが、2008年に改修工事が完了して美しくなりました。

写真 柴田農林高校前 撮影2016.11 地図
柴田農林高校前の歩道橋から旧国道4号を撮影しました。遠方には冠雪が始まった蔵王連峰が見えます。右手の鉄塔がある建物は県の合同庁舎で、左端のカマボコ型の建物は柴田農林高校です。大河原町には柴田農林高校と大河原商業高校があり、約1,000人の生徒が通学しています。高等学校がない市もあるなかでの県立高校2校、生徒数1,000人ですから、ちょっと珍しい町といえるでしょう。

写真 法務局大河原支局前 撮影2016.11 地図
錦町の法務局前から柴田町船岡方面を撮影しました。昭和40年代当時、沿道にはトヨタ・日産・ホンダをはじめ、自動車関連の店が並んでいました。それは既存の商店街とは異質な景観で、明るく伸びやかなアメリカを連想させる雰囲気を放っていました。仙台圏を除けば、大河原は古川・石巻に次ぐ自動車販売拠点地ですが、新しい国道ができて旧国道沿道は寂れてしまいました。

写真 大河原商業高校付近 撮影2016.11 地図
法務局から500メートルほど北へ進み、柴田町方面を撮影しました。この一帯は大河原町と柴田町の境界が入り組んでいて、両町の境がわかりにくい地区です。大河原市街の一部に見えても、住所は柴田町だったりします。写真右手の裏には、東京・メキシコ両オリンピックの重量挙げで金メダルを獲得した三宅義信さんの出身校である大河原高校(現在の大河原商業高校)があります。

写真 菓匠三全「萩の月」 撮影2016.11 地図
役所の町・商業の町として中心性を発揮する大河原ですが、工業はふるわず、2018年の製造品出荷額等は角田市の8分の1、白石市の7分の1です。そのようななかで健闘しているのは、仙台銘菓「萩の月」で知られる菓匠三全です。写真の店舗は柴田町との境界付近、旧国道4号に面した菓匠三全工場直売店です。土曜・日曜のみの営業ですが、アウトレット品を安く買えるので人気があります。



参考文献
大河原町史 通史編(昭和57年5月30日)大河原町
大河原町史 諸史編(昭和59年3月31日)大河原町
大河原町史 年表(昭和59年3月31日)大河原町
大河原町史 通史続編(平成17年3月31日)大河原町
大河原町字限図・行政区図(昭和50年2月)大河原町
土地区画整理事業誌(平成7年)大河原町
大河原町・町制施行百周年記念写真集 新しい過去から(平成元年4月1日)大河原町
宮城県の商圏 消費購買動向調査報告書(平成18年3月)宮城県
宮城県の商圏 消費購買動向調査報告書(平成21年3月)宮城県
宮城県の商圏 消費購買動向調査報告書(平成25年3月)宮城県
宮城県の商圏 消費購買動向調査報告書(平成31年3月)宮城県
写真集 明治大正昭和 柴田郡 ふるさとの想い出248(昭和57年) 大泉 光雄 国書刊行会
仙台商圏 増刊号 2021年版(令和2年12月1日) 仙台経済界
角川日本地名大辞典4宮城県(昭和54年12月8日) 角川書店
(Web)  大河原町  大河原町都市計画図  仙南地域広域行政事務組合  仙南広域圏  宮城県地域区分図  宮城県推計人口  平成26年宮城県の商業  平成30年宮城県の工業  令和2年度宮城県学校基本調査結果報告  明治28年宮城県国県道 道路表 平成27年度全国道路・街路交通情勢調査  路線価図  JR駅の乗車人員  仙南温泉軌道  大河原警察署の沿革  仙南芸術文化センター  みやぎ県南中核病院  グリーンホテル大河原  カトリック大河原教会  裁判所所在地一覧  年金事務所所在地一覧 公証役場所在地一覧  綜合警備保障営業所一覧  富士ゼロックス宮城営業所一覧  ジブラルタ生命営業所一覧  ホシザキ東北営業所一覧  ツルハ店舗一覧  薬王堂店舗一覧  青山店舗一覧  はるやま店舗一覧  コナカ店舗一覧  三越小型店舗一覧  ケーズデンキ店舗一覧  ヤマダ電機店舗一覧  ケンタッキーフライドチキン店舗検索  マクドナルド店舗検索  ミスタードーナツ店舗検索  プロミス店舗一覧  アイフル店舗一覧  アコム店舗一覧  レイク店舗一覧  Googlマップ  Yahoo!地図  マピオン地図

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