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街は役目を終えて衰退に向かうとき、いぶし銀のような光を放す街と、そうでない街があるように思える。
いまや最高路線価も郊外の本郷・南郷地区に移り、気仙沼の中心街は衰退ムードの中にある。市役所前の八日町は中心街で最も整然とした街路だが、人影まばらで眠たそう。かつて丸光百貨店があった南町は、横丁に飲食店が張り付く猥雑さが魅力の商店街だったが、退廃の二文字がフラッシュバックして止まらない。 汽船発着所で一休みして魚町の海岸通をぶらつく。いまは寂れた魚町も、昔は魚市場があって活況を呈したらしい。繁栄期に資本が投資され蓄積された町並みは、夏の日の斜陽を浴びて いぶし銀の光を照り返していた。(写真:宮城県気仙沼市魚町) 執筆:2007年12月 改訂:2016年5月 東日本大震災に見舞われた気仙沼が、再び都市としての輝きを取り戻すことを願っています。 |