地理と地域旅行記
奥只見ダムと大湯温泉
制作:千本桜 歌麿
設置日:2017.9.19
E-mail:tiritotiiki@gmail.com
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旅をするなら
 同じ町内の同世代7人が乗った車は、磐梯山を右に見て磐越道を西へ走る。メンバーの平均年齢は70歳だが、まだまだ若いと思っているから、結構ハードな旅行コースを平気で組む。

 この先、会津坂下インターで高速道をおり、只見川に沿って国道252号を走行。虚空蔵尊と温泉で知られる柳津、カルデラ湖の沼沢湖、巨大な奥只見ダムに立ち寄りながら、新潟県湯之谷温泉郷の大湯温泉に宿泊。翌日は日本海に出て、出雲崎、寺泊、弥彦神社、弥彦山を観光して大河原へ戻る回遊型の旅行コースである。

 旅行はSY氏の企画だが、こういう回遊型コースを組みたがる人の気持ちはよくわかる。なぜなら、千本桜も同類だからである。良く言えば、何でも見たがり屋。そんなふうに捉えておこう。いずれにしても、旅をするなら回遊型が良い。
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柳津虚空蔵尊
 会津柳津駅前を通って虚空蔵尊の駐車場に到着。虚空蔵尊の正式名は福満虚空藏尊圓藏寺。只見川沿いの高台にある大きなお寺だ。裏参道の石段をのぼると最初に現れるのが本堂。着色なしの白木造りで、なかなか重厚な建物である。さっそく見晴台で記念撮影。眼下に只見川と国道252号の赤い橋が見える。

 広い境内を進んでいくと、庫裏や奥の院など雰囲気の良い場所があるのだが、時間の都合でカット。売店のあたりをぶらぶらしながら、大きな赤べこと本堂のツーショット写真を撮影。

 みんなが表参道の階段をおりて駐車場へ向かっている間に、ちょっと門前の温泉街を駆け足散歩。温泉街といっても寂れた小さな町並みだが、20数年前に買って食べた「粟まんじゅう」の店が、昔のまま営業していて懐かしかった。
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沼沢湖
 大川と只見川が合流して阿賀野川になるが、本流は大川で、只見川は支流である。ところが、只見川は大物で、長さも水量も本流の大川を凌ぐ変わりもの。緑色の水を湛えて大蛇のように蛇行する只見川は、ちょっと不気味な感じがする。

 沼沢湖へは、早戸集落で国道252号を左折し、只見川を渡って山道をぐいぐい上っていく。只見川と沼沢湖の高低差は、およそ250メートル。結構な急坂道である。沼沢湖は噴火によってできたカルデラ湖で、昔は沼沢沼と呼ばれていた。

 二十数年前に一度、沼沢沼を訪れているが、あの日はあいにくの曇天で、風景が重く沈んでいた。しかし、この日の沼沢湖は違っていた。良く晴れた青空のもと、透明感のある爽やかな風景が広がっている。夏になると湖水浴客でにぎわう浜をバックに、記念写真を撮りますよ!
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奥只見ダム
 沼沢湖から山道をくだって金山町役場所在地の川口に出た。ここから再び只見川に沿って国道252号を走行。只見町を通過し、六十里越トンネルをくぐって新潟県魚沼市へ向かった。

 魚沼市の「道の駅ゆのたに」で昼食をとり、新潟県と福島県に跨がる奥只見ダムを目指して出発だ。ダムへ行くにはシルバーラインを通る。シルバーラインは全長22キロのうち18キロがトンネル部で、外の景色は見えない。しかし、どこまでも続くトンネルにメンバーは大はしゃぎ。

 トンネルを抜けると奥只見ダムは直ぐそこ。奥只見ターミナルの大駐車場に車を置き、片道100円のスロープカーでダム広場へ上がり、ダム天端まで歩く。尾瀬沼から流れくる水を湛えたダム湖を眺めていると、只見川の雄大さと懐の深さが改めて伝わってくるのである。
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湯之谷温泉郷大湯温泉
 奥只見ダムのダム湖は、銀山湖とも奥只見湖とも呼ばれる。当事者同士に通じればいいのだから呼び方は自由だが、万人に共通する正式名も必要になる。ここはやはり国土地理院地形図に記された奥只見湖が正式名で、銀山湖は通称でしょう。

 そろそろ、秘境「奥只見」とはお別れです。再び、シルバーラインの長いトンネルをくぐって湯之谷温泉郷の大湯温泉へ向かうのだが、俗世界へ引き戻される感じ。たどり着いた大湯温泉は確かに俗世界だが、どこか寂れた湯の町である。

 今夜の宿は村上屋旅館。鉄筋コンクリート造りで立地場所も悪くはないが、やはり寂れた匂いがする。部屋に入って、さっそく安着祝い。夕食後に案内されたカラオケルームも障子が破れた畳敷きの和室で、何か違和感がある。でも、こんな雰囲気もたまにはいいだろう。
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大湯温泉早朝散歩
 朝めし前の早朝散歩。国道352号を小出方面へ歩いて大湯公園へ。バーベキュー広場やロックガーデンが整備され、手入れも行き届いている。帰路はホテル湯本の前を通り、坂道をおりて「合わせ湯橋」へ。そこから「川端通り」の階段をのぼって共同浴場「雪華の湯」へ出た。

 合わせ湯橋、川端通り、雪華の湯、どれもいい雰囲気。地元の人らしき奥様が何かをしている。「大湯温泉はいい所ですね、すこし寂れていますが…」と声をかけると、奥様は「でも、昔はダム工事関係者でにぎやかでした。あの道路は人があふれていたんですよ」と話してくれた。

 人があふれていたという「すずらん通り」を駆け足で見学。えー、どうしたことだ。寂れているどころか、廃墟じゃないか。「歓迎 すずらん通り」のアーチは、何も言わずに立っている。
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出雲崎と寺泊
 旅行2日目は、出雲崎、寺泊、弥彦の観光だが、その前に小出の中心街を車で一巡し、アーケード商店街を見て回った。これは、観光というより巡検に近いが、千本桜にとっては重要な行動である。

 途中「道の駅良寛の里わしま」に立ち寄りながら、出雲崎の良寛記念館に到着。ここは3年前にも訪れているので新鮮味に欠けるが、さっそく記念撮影。記念館に隣接する「良寛と夕日の丘公園」にのぼって日本海を眺める。丘の下には紐みたいに細長い出雲崎の町並みが続いている。そして、なぜかお寺と神社が多いのだ。

 昼食は寺泊。魚の市場通りの真ん中あたり、角上魚類2階の海鮮茶屋「汐の華」。ズワイガニが丸ごと一杯乗っかった「かにラーメン」に、思わずオオッ!と声が出る。話の種にはなるが、カニって殻をむくのが面倒だから苦手だな。
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弥彦神社と弥彦山
 寺泊で「かにラーメン」のあとは越後国一宮の弥彦神社へ。挨拶がわりに神社の入口にあたる一の鳥居を撮影。表参道を手水舎のところで左に折れ、石造りの二の鳥居をくぐり、随神門、拝殿へと進むのが一般的だが、参道北側の木立の中に建つ、斎館、参集殿、舞殿、十柱神社も捨てがたく、急ぎ足で見てまわった。

 次に、弥彦山へのぼる。ロープウェイ送迎バスでロープウェイ乗り場へ。ロープウェイは新潟平野を見おろしながら、山麓駅から山頂駅へ昇っていく。少し霞んだ天候で、ぼやけて見えるのが残念だが、展望食堂のテラスから風景を眺めて下山。

 帰路は、巻潟東インターから高速道路でストレートに帰着。全行程の走行距離、およそ700キロ。運転者に感謝。

旅行:2016年5月
執筆:2017年9月
地図:Illustrator
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