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2024年10月、米沢・長井方面へ1泊2日の旅行をした。当ページはその1日目の記録である。高速道を走って米沢へ。米沢では上杉神社などを観光し、料亭の吉亭で昼食。午後はロープウェイで天元台へ上り、高原を散策。白布温泉の中屋別館不動閣に宿泊した。
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道の駅ふくしま
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米沢に向かう道すがら、道の駅「ふくしま」に立ち寄った。2年前にオープンしたばかりで、まだピカピカのニューフェース。福島大笹生(おおざそう)ICに隣接し、フルーツラインにも面している。吾妻連峰を見渡せる位置にあり、福島県内では最大規模の道の駅なんだとか。
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米沢市街
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明治22年4月1日、日本で最初の市が誕生。そのとき誕生したのは大阪市・京都市など31市。そうそうたる顔ぶれだが、なんと米沢市もその中に入っている。米沢は青森や福島より早く市になったが、その後の発展はかんばしくなく、どこか孤高で哀愁をおびたイメージがつきまとう。何度か訪問しているが、今回は上杉城史苑→松岬神社→上杉神社→上杉伯爵邸→伝国の杜→吉亭→東光の酒蔵の順に回った。
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松が岬公園
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米沢の中心部に広がる松が岬(まつがさき)公園。ここには上杉城史苑・松岬神社・上杉神社・上杉伯爵邸・伝国の杜などの観光施設が集まっている。令和5年度の調査によると、松が岬公園の観光客数は山寺や羽黒山をしのいで県内トップクラス。おまつり広場駐車場に車をとめて松が岬公園を歩いてみた。
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上杉城史苑
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松が岬公園の上杉城史苑は、おみやげ売場やレストランのある観光施設。まだ上杉神社の参拝を済ませていないが、おみやげ売場を見て回る。置賜地方には道の駅がいくつもあるので買物には事欠かないが、みやげ品の品揃えは上杉城史苑が最も充実している。
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上杉鷹山と松岬神社
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上杉城史苑のとなりに上杉鷹山公の像と松岬神社がある。鷹山は第9代米沢藩主。「なせば成る なさねば成らぬ 何事も 成らぬは人の なさぬなりけり」の名言を残し、今も多くの人に慕われる名君だ。その鷹山をはじめ、初代米沢藩主の上杉景勝、家老の直江兼続などを祀っているのが松岬神社だ。松岬神社は上杉神社の摂社である。
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上杉神社
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上杉神社は米沢のメインスポットで、この日も観光客でにぎわっていた。お堀にかかる舞鶴橋を渡り、一の鳥居・二の鳥居をくぐって神門へ。その先に上杉神社の本殿が待っている。祭神は、あの上杉謙信。宝物殿には上杉家ゆかりの甲冑などが展示してあり、戦国武将を好きな人には魅力的な神社である。
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伊達政宗
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米沢はかつて伊達家の領地で、伊達政宗もこの米沢城で生まれている。24歳まで米沢で過ごしたというから、米沢は政宗にとって思い出深い故郷なのだろう。上杉神社の参道に「伊達政宗公生誕の地」の碑が立っている。上杉家に囲まれて、政宗はちょっと肩身がせまいかな。
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上杉伯爵邸
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上杉神社から菱門橋を渡って上杉伯爵邸(別名:上杉記念館)へ。伯爵邸は上杉伯爵の本宅として建てられたが、今は郷土料理などを提供する料亭となっている。広大な屋敷に総ヒノキの家屋と美しい庭園。庭木の雪囲いも芸術的。伯爵とはいえ、これが個人宅だったなんて信じられない。伯爵邸は国の有形文化財に登録され、館内も庭園も無料で公開されている。
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伝国の杜
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伝国の杜は、文化ホールと博物館の複合施設で、平成13年にオープン。開放感のある広い敷地と近代的デザインの建物が印象的だ。博物館には国宝の上杉本洛中洛外図屏風など貴重な文化財が収蔵されているが、いつも外観を観るだけで入館したことがない。今回も入館しないまま、次の目的地「吉亭」へ向かった。
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吉亭
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昼めしは米沢牛を食べましょう。「ちょっと値が張りますがいいですか」と聞くと、同行者も太っ腹になっていて「いいよ」と軽い返事。山懐料理の吉亭(よしてい)へ車を走らせる。吉亭はもと米沢織の織元で、今は料亭になっている。大きくて立派な母屋は国の有形文化財に登録され、庭も美しく手入れしてある。文化財の建物で米沢牛のランチ。たまにはこんな贅沢もいいだろう。
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東光の酒蔵
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吉亭でランチを済ませ、東光の酒蔵へ。東光の酒蔵は東北最大級の酒造資料館だとか。有料で内部見学できるが、今回は無料の売店コーナーを観るだけにした。醸造元の小嶋総本店は歩いて数分のところにあるが、安土桃山時代の創業だとか。アメリカ合衆国の建国より歴史が古いのだ。こんなことトランプ大統領にはわかるまい。
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天元台ロープウェイ
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米沢から白布温泉を通って天元台へ。湯元駅から天元台高原駅までロープウェイで6分間の空中遊覧。山は黄・橙・赤に色づいて紅葉の真っ盛り。絶好の旅行日和に恵まれて幸せだ。あんな山奥の谷間にぽっんと一軒家。あれは何と尋ねると、新高湯温泉だという。あれが新高湯温泉か。聞きしにまさる秘湯だな。
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天元台高原駅
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天元台高原駅は、国土地理院の電子地図で計測すると標高1,314m。目の前にゆるやかな台地が広がっている。この地形なら高齢者でも楽に散策できそうだ。駅前に白猿の長名水。長命水は甘くて美味しいらしいが、飲んでいないので何とも言えない。白猿は純白のニホンザルで米沢市の天然記念物。白猿に出会うと幸運に恵まれるそうだ。
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パノラマ展望台へ
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観光客はパノラマ展望台を目ざして歩い行く。私もつられて歩いて行く。木製デッキの展望台に到着。時刻は午後2時半。残念だが逆光で景色が霞んでいる。あそこが米沢、あっちが長井。あれが朝日連峰で向こうが月山。こうして頭の中の地図と風景を重ねてみるのは楽しい。
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火焔の滝
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同行者がパノラマ展望台にいる間、一人で火焔の滝(ひのほえのたき)展望台へ行ってみた。展望台に立つと、谷の向こうに落差40mの滝が見えた。「ひのほえ」という名前は、秋の夕日が滝に当たると炎が燃え上がるような姿になることに由来するらしい。
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天元台高原スキー場
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天元台高原スキー場の周辺は紅葉が終わっていた。しらかば・しゃくなげ・つがもり、3つのリフトを乗り継いで標高1,820mの北望台まで上れるが、夏季のリフト運行は10月なかばで終了している。ゲレンデも雪が積もればスキー客でにぎわうが今は寂しい。
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白布温泉
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遠い昔、ガイドブックを見て白布温泉に憧れた。茅葺屋根の東屋・中屋・西屋が寄り添って立っていたのだ。あの建物が今も残っていたなら文化財ものだろう。しかし平成12年の火災で東屋と中屋が全焼。その後、東屋は新築し、中屋は離れた場所の別館不動閣で営業を継続。茅葺屋根は西屋だけとなった。
ひなびた温泉場に憧れて行ってみたら、本当にひなびていてガッカリしたという話を聞いたことがある。白布温泉は大丈夫かな? 白布温泉に泊まるのは初めてだ。粗末なボロ旅館だったらどうしょう。不安を消せないまま、中屋別館不動閣を予約した。 |
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中屋別館不動閣
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中屋別館不動閣に到着。玄関を入ると目の前にレトロな茶の間。なんだか不思議なムードが漂っている。茶の間の隣は昭和でストップしたようなロビー。その奥には簡素なカフェ。どれも古くて宿選び失敗かと思ったが、私たちが案内された部屋は平成時代の建築で、予想に反して新しく清潔だった。
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館内めぐり
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中屋別館不動閣は、大正時代の建物を移築再生した不動閣、昭和に建てられた渓谷館、平成に建てられた黎明館がつながっているので、あちこちに階段があり通路も迷路状態。私たちの部屋は黎明館で居心地はいいが、部屋に閉じこもっていては面白くない。迷路に探検心をくすぐられ、館内めぐりスタートだ。
館内で一番古い不動閣を探索。もとは立派な建物のようだが古くなっている。廊下や階段は大正ロマンのレッドカーペット。でもメンテナンスをあきらめたのか傷んでいる。階段の先には、何かが出そうな暗闇の空間が‥‥。あそこに何があるんだろう。怖くて行けない! |
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夕食
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夕食は食事処「あづま」で。やはり迷路状態の階段を降りてゆくが、大きな旅館ではないから、それほど迷わない。食事処はきれいで小ざっぱりしている。メニューは、鯉の洗いに松茸の茶碗蒸し・米沢牛・山形名物いも煮など、いろいろあって美味しかった。
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オリンピック聖火台
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館内でオリンピックの聖火台に出くわした。なんでここに聖火台なんだ。昭和39年、東京オリンピックの聖火が山形県を通過する際に、県庁のバルコニーに据え付けられた聖火台がここにある。どうやら、この聖火台は白布温泉から切り出した石で作られたのが縁らしい。
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オリンピック風呂
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中屋別館不動閣の名物は、昭和39年東京オリンピックの年に作られたオリンピック風呂。幅は狭いが長さがすごい。男湯18m、女湯15m。旅館規模に対して大きすぎる浴槽だ。ほかに入浴客がいないので泳いでみようか。でも、体を動かすと沈殿していた湯花が浮き上がってくる。湯花は体に良いが、気持ちが悪いので泳ぐのをやめた。
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露天風呂
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中屋別館不動閣には、オリンピック風呂のほかに屋根付きの露天風呂もある。風呂の外は大樽川の渓谷。石鹸は使えず入浴するだけの風呂だが、ほかに誰もいないので鼻唄など歌ってのんびりと。明日はこの旅で一番の目的地、長井ダムの奥に眠る秘境「三淵渓谷」へ行くのだ。
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