地理と地域旅行記
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制作:千本桜 歌麿
旅行:2024年10月
文:2025年2月
公開:2025年2月22日
E-mail:tiritotiiki@gmail.com

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 2024年10月、米沢・長井方面へ1泊2日の旅をした。当ページは、その2日目の記録である。白布(しらぶ)温泉を出発して長井へ。目指すは長井ダムの奥に眠る神秘の秘境・三淵(みふち)渓谷だ。陸路がないため、ボートやカヌーでしか行けない穴場スポットである。ついでに、国登録有形文化財の旧長井小学校第一校舎も見学することにした。




白布温泉中屋別館不動閣
 旅行2日目の朝、白布温泉は雨降り。予定していた白布大滝の早朝散歩は断念。宿泊した中屋別館不動閣も雨に濡れている。中屋は、大型ホテルが好きな私には少し物足りないが、ひなびた感じで良い旅館だった。朝食を済ませ、長井へ向かって出発だ。
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長井
 長井で有名なのは、あやめ公園。佐原・潮来・長井の「あやめ園」が日本三大あやめ園だとか。でも今回の目的地は、長井市民でさえ知る人の少ない秘境・三淵渓谷である。三淵渓谷は合地沢(がっちさわ)湖面広場からレスキュー用ゴムボートに乗って行く。しかし、その前に「野川まなび館」で乗船手続きをしなければならない。
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道路標識 経路案内板
 国道287号を走行し、長井の館町南交差点にさしかかった。この交差点を左折すると長井ダムへ行くはずだが、経路案内板には左折「飯豊」と書いてある。長井ダムへ左折するのはもっと先かと勘違いし、そのまま直進。寒河江方向へ走ってしまった。

 ここから迷走が始まった。方向感覚が狂ってきたぞ。頭はパニック。ボートの出発時刻が迫ってくる。あぁ、ボートに乗り遅れる。野川まなび館へ電話しなくては。「乗船予約していた者ですが、道に迷っています」と告げると、「長井ダム方向へ進んでください」とのこと。だから、その長井ダムへの行き方がわからなくなったんです!
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野川まなび館
 野川まなび館は、ながい百秋湖や三淵渓谷の観光拠点。ここで乗船手続きをして、合地沢湖面広場へ向かう。トンネルを2つ通りぬけ、どんどん山の中へ入って行くが、道路は整備されていて快適。予定時刻を過ぎているが無事にボート乗り場に到着した。
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合地沢湖面広場
 合地沢湖面広場は深い山の中。ここから三淵渓谷めぐりのゴムボートが出る。駐車場と仮設トイレはあるが、ほかには何もない。天気は雨が降ったり止んだり、くるくる変わる。対岸の白い建物は野川第二発電所。係員にポンチョを着せてもらい、1時間のボートツアーへ出発だ。
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ながい百秋湖 遡上
 ながい百秋湖が目の前に広がる。百秋湖は最上川支流の野川に造られた長井ダムの人造湖。野川って優しそうな名前だが、昔は暴れ川だったそうだ。ボートは百秋湖の上流へ向かって進んで行く。風がないから揺れもなく、霧がかかって幻想的だ。
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三淵渓谷
 百秋湖の上流端に到着。ボートは大きく向きを変えて三淵渓谷へ入って行く。川幅は狭い所で3m。両岸は切り立つ断崖。どこか高千穂峡に似ている。この絶景は異次元の世界だ。スリルと興奮を乗せ、ボートは水面をなめるように、ゆっくり進んで行く。
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ながい百秋湖 流下
 三淵渓谷の遊覧を終え、再び百秋湖へ。遡上と同じコースを流下するが、紅葉がみごとだから何度見ても飽きないだろう。百秋湖の面積は七ヶ宿湖や釜房湖の3分の1弱。それほど大きな湖ではないが、険しい山々に包まれているので圧迫感があって面白い。
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ゴムボート下船
 ながい百秋湖と三淵渓谷を堪能し、ボート乗り場に戻ってきた。あとは長井へ行って昼ご飯を食べよう。ところが、ここでアクシデント。車のエンジンがかからない。しまった! トンネルを通ったとき、ライトを消しわすれたのだ。

 JAFを呼ぼうとしたら、「ここは携帯がつながりません」と係員の声。えー、今時そんなのあり? 「もうひとり係員が来ますからブースターケーブルを持ってきてもらいましょう」ということで、なんとか助かったが、どうなることかとゾーッとした。
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右岸展望広場
 右岸展望広場に車をとめて百秋湖を眺望。川は上流から下流に向かって右側を右岸、左側を左岸という。近くには湖面をまたぐ龍神大橋がある。季節は秋の真っ盛り。雨があがって青空も出てきた。広場にいた若いカップルにシャッターを切ってもらい記念撮影。今回の旅行は私を含め、大河原町民生委員の前会長・大沼忠さんなど4名だった。
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道の駅 川のみなと長井
 道の駅「川のみなと長井」は国道287号に面している。市街地に位置しているので町歩きの拠点として便利。特に、国登録有形文化財の旧長井小学校第一校舎は、国道を挟んで直ぐそば。ランチは道の駅でもできるが、旧長井小学校第一校舎内のカフェで食べる予定だ。
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旧長井小学校第一校舎
 旧長井小学校第一校舎は、以前から気になっていた建物だが入館するのは初めてだ。赤味を帯びた外壁が印象的で、北海道にありそうな感じの建物である。玄関を入ると、トロトロに磨かれた廊下が目に飛び込んできた。この校舎は昭和8年に建築され、平成27年まで現役の校舎として使われていたという。
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メニーズカフェ
 第一校舎の職員室は現在、メニーズカフェという名のカフェになっていて、カレーやパスタを食することができる。期待しないでパスタを注文したが、これが意外に美味しかった。長井は競技用けん玉の生産量が日本一とか。カフェの隅にさりげなく、けん玉が置いてあった。
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熊野大社
 長井の次は南陽市の熊野大社へ。大鳥居の扁額には熊野「神社」、拝殿の提灯には熊野「大社」とある。神社と大社。どちらも正しいのだが、どのように使い分けているのか気になる。ちなみに、角川地名大辞典や南陽市文化財目録は熊野神社。県や市が発行する観光パンフレットは熊野大社と記している。

 熊野大社は何度か訪れているので、同行者が参拝しているあいだ駐車場で仮眠していた。写真を撮っていないので、サイトから拝借した写真を掲載する。熊野大社のあとは、高畠と七ヶ宿の道の駅に寄りながら無事帰着した。
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