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蔵王連峰は宮城・山形両県にまたがって聳えたつ。大河原盆地から眺める蔵王は、屏風岳を主峰とする南蔵王、熊野岳を主峰とする中央蔵王、雁戸山を主峰とする北蔵王に分けられる。大河原町民の心に焼き付いているのは、主に南蔵王の風景である。屏風岳の左には三角形に尖った不忘山が聳えたち、同じく右にも三角形の後烏帽子岳が聳えたって左右対称。南蔵王の山並みは、シンメトリックで釣り合いがとれている。人間は対称的な形に美しさを感じて好感を持つらしい。これをシンメトリー効果という。写真撮影に特別な知識もなく、気軽にシャッターを切っただけなのに、南蔵王の山並みは美しく撮れる。やはり、シンメトリー効果に負うところが大きいのだろう。もうすぐ春。一目千本桜が咲きほこり、遠くに蔵王の残雪が輝くとき、大河原盆地は匂い立つように華やぐのである。
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