ここは福島、新町ビル街。長さ110mの横丁に、間口2間の小さな店が肩を寄せあう盛り場だ。店はスナック、居酒屋、小料理店。でも、半数近くは廃業している。1階が店舗、上階が住宅の共同ビル。築後60年は経つだろうか。蔦が壁を這い、じわじわと廃墟の影が忍び寄る。常連客は年老いて、店主もママも年老いて、夢見る場所にもなりにくい。夜ごと酔客で賑わったのはいつの日か。今夜は何軒の店に灯がともるのだろう。古びて寂れた盛り場は、郷愁の念を揺さぶるように詩情を漂わせていた。
撮影 2025年10月9日
作文 2025年10月14日